書評

平易な文章に理解の深さを問われる一冊か。野口悠紀雄著『「超」説得法』

何年も読書生活を続けていると、「この人が出した本はとりあえず読もう」という著者の方が何名もできます。「この人が新しく伝えたいことがあるなら、何はともあれまず聞いてみよう。何かあるはずだ」と思わせてくれる方です。例えば、その人が「効率的な便…

地震は怖い、破局噴火はもっと怖い:『死都日本』

東日本大震災により、天災の恐ろしさは我々の脳裏に深く刻み込まれました。 一方、起こってしまえば大震災(地震+津波)の桁外れの人的・物的損害をもたらす天災があります。 破局噴火です。 破局噴火 - Wikipedia 破局噴火とは一言でいうと、「桁外れの規模…

確かに膝から崩れ落ちる小説、『殺戮にいたる病』

殺戮にいたる病 (講談社文庫)作者: 我孫子武丸出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/11/14メディア: 文庫購入: 41人 クリック: 522回この商品を含むブログ (229件) を見る推理小説は面白いものは多々ありますが、犯人や話のからくりについて仮説を立てながら…

軽いタッチでずばっと核心をつく一冊、村上福之『ソーシャルもうええねん』

ウェブビジネスとフリーで働くことについて、ずばっと核心をつくような一冊を発見したので、紹介します。ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)作者: 村上福之出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション発売日: 2012/10/26メディア: 単行本…

立花隆さんの新著『立花隆の書棚』が遺言っぽく感じる

今日、立花隆さんの新著『立花隆の書棚』が書店に並んでいました。立花隆の書棚作者: 立花隆,薈田純一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/03/08メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (14件) を見るタイトル、5cmくらいある厚さ、そし…

棋士・米長邦雄さんのブッ飛んだ著書『米長流株に勝つ極意』

私は世の中の新陳代謝がどんどん進むことはいいことと思っており、上の世代はどんどんあの世に旅立って、若い世代にどんどん席を譲ってほしい、と常日頃おもっているのですが、それでももっとこの方の言動はもっと見たかったという人が少数います。 その一人…

ネットに散らばる市井の賢人の一人:finalventさんが本を出版『考える生き方』

インターネットが完全に普及して情報が溢れ、そして溢れる情報から価値ある情報をキュレーションする手段がTwitter、Facebook、RSSフィード等で確立されつつある今、ネット上に質の情報を発信する「無名の賢人」にアクセスすることができるようになりました…

松井博『僕がアップルで学んだこと』はビジネススクールより役に立つのでは

元アップルのシニアマネージャーの松井博さんのブログの記事をいくつか紹介していますが、松井さんはブログの記事をきっかけとして、書籍も出版されています。最近も新著を上梓されたのですが、今回はその前の著書『僕がアップルで学んだこと』を紹介します…

「統計学が最強の学問である」かは異種格闘技戦で決めてほしいが、相当強いことは間違いない

世の中、「ただ知っているか、知らないか」だけで、人生が180度違ってくることがあります。 進学先、職業選び、配偶者探し、住宅ローンを組むか否か。新しいビジネスを立ち上げ、、等、我々の人生は、要所要所でそれなりの決断を強いられるわけですが、その…

童貞は漫画家予備軍のエリート?

先日は、何かを創造することを生業とする、クリエイターと言われる人達の創造性が減退するタイミングとして「幸せになってしまう」ことを指摘してみました。そりゃ、成功して、お金持ちになって、異性に恵まれ、自分がしたいことができるなら、何か既存の何…

松村劭『戦術と指揮』に見るビジネスへの応用性

軍事評論家の故・松村劭(つとむ)さんは、古代から近代までの戦争の戦略を分析・解説した著作を多く書かれていますが、ビジネスにおける戦い方を考える時も示唆に富む記述が多かったりします。戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)作者: 松村…

正直、『レ・ミゼラブル百六景』はおもしろすぎた

新装版 「レ・ミゼラブル」百六景 (文春文庫)作者: 鹿島茂出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/11/09メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 61回この商品を含むブログ (13件) を見る先週のエントリー(『人間仮免中』は『レ・ミゼラブル』を越える人間活劇 -…

『歴史の愉しみ方』の磯田道史さんは司馬遼太郎さんを越える歴史家になるのでは

歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)作者: 磯田道史出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/10/24メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (32件) を見る 私は忍者の古文書を読みながら全国をさすらう旅を夢想し恍…

「ルサンチマン」こそ花沢健吾さんの最高傑作ではないか

ついこないだ正月を楽しんでいたと思ったら、もう1月末。。。 例年ながら1月は矢のごとし過ぎ去ってしまいます。さて、私は、正月は適当に重くない小説などを読むことが多いですが、今年の正月はむちゃくちゃおもしろい漫画に出合ったので紹介します。 下手…

『人間仮免中』は『レ・ミゼラブル』を越える人間活劇

今、映画で流行りの『レ・ミゼラブル』ですが、以前、私は小説で前半を読んだだけですが、正直そんなに感動しませんでした。 http://www.lesmiserables-movie.jp/ レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)作者: ユゴー,佐藤朔出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/05/…

『印象派という革命』で感じる経済思想史

印象派という革命作者: 木村泰司出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/01/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (3件) を見る経済学とは、限られた資源(資本、労働等)をどのように分配すれば、社会全体の最適化を図れるか考え…

破戒者たち<小説・新銀行崩壊>

3月16日に出版されたばかりの高杉良著『破戒者たち<小説・新銀行崩壊>』を読みました。" title="破戒者たち ">破戒者たち 作者: 高杉良出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/16メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見るこの本…

逆張り書評:今あえて木村剛さんを応援する

去る3月16日、経営破綻した日本振興銀行の元会長、木村剛被告に東京地裁から銀行法違反(検査忌避)による有罪判決が言い渡されました。http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120316/cpb1203161728000-n1.htmこの事件に関して、判決が正当であるか、正直…

『警察の誕生』菊池良生

警察の誕生 (集英社新書)作者: 菊池良生出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/12/17メディア: 新書購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (14件) を見るこの書評は、成毛眞さんの「本のキュレーター勉強会」企画オマージュである。 「本のキュレータ…

第11冊目『ビアフラ潜入記』、第12冊目『写真集ビアフラ』

ビアフラ潜入記 (1970年)作者: 伊藤正孝出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1970メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る ビアフラ―高橋直宏写真集 (1970年)作者: 高橋直宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 1970メディア: ? クリック: 1…

第10冊目 『ビアフラ物語―飢えと血と死の淵から (1982年)』

ビアフラ物語―飢えと血と死の淵から (1982年)作者: フレデリック・フォーサイス,篠原慎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1982/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る 先週末でやっと読了した。今日の書評は、フレデリック・フ…

第9冊目 『『こころ』は本当に名作か』

『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/04/01メディア: 新書購入: 20人 クリック: 569回この商品を含むブログ (35件) を見る 今回もアフリカから脱線だ。 次に読む本を選ぶのに参考にして…

第8冊目 『アフリカ 苦悩する大陸』

アフリカ 苦悩する大陸作者: ロバートゲスト,Robert Guest,伊藤真出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/05/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 148回この商品を含むブログ (48件) を見る 前回に続き、「ビアフラ戦争」のテーマからは脱線し、ア…

第7冊目 『アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々』

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)作者: 松本仁一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/20メディア: 新書購入: 25人 クリック: 149回この商品を含むブログ (78件) を見る アフリカへの旅は、約40年前のナイジェリアまで到達していた…

第6冊目 『超「超」整理法』

超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー作者: 野口悠紀雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/09/18メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 162回この商品を含むブログ (133件) を見る 今日は、アフリカ関連とは違う他の本が読了したので、その…

第5冊目 『ビアフラ戦争 叢林に消えた共和国』

ビアフラ戦争―叢林に消えた共和国 (ヒストリア)作者: 室井義雄出版社/メーカー: 山川出版社発売日: 2003/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る 下記、前々回の書評『戦争の犬たち (上) (角川文庫)』の冒頭である。 …

第4冊目 『多読術』

多読術 (ちくまプリマー新書)作者: 松岡正剛出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/04/08メディア: 新書購入: 12人 クリック: 140回この商品を含むブログ (213件) を見る アフリカ編の途中であるが、丁度並列で読んでいた別の本を読了したので、今日は脱線…

第3冊目 『戦争の犬たち 上・下』

戦争の犬たち (上) (角川文庫)作者: フレデリック・フォーサイス,篠原慎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1981/03メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (21件) を見る戦争の犬たち (下) (角川文庫)作者: フレデリック・フォーサイス…

第2冊目 『カラシニコフ』

カラシニコフ作者: 松本仁一出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2004/07/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 117回この商品を含むブログ (89件) を見る カラシニコフ、日本で普通に生活しているだけでは、まず現物に触ることのない。もしかしたら、その…

第1冊目 『チョコレートの真実』 

チョコレートの真実 [DIPシリーズ]作者: キャロル・オフ,北村陽子出版社/メーカー: 英治出版発売日: 2007/08/27メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 62回この商品を含むブログ (45件) を見る これから長く続くアフリカ関連書籍の書評の第一…