棋士・米長邦雄さんのブッ飛んだ著書『米長流株に勝つ極意』

私は世の中の新陳代謝がどんどん進むことはいいことと思っており、上の世代はどんどんあの世に旅立って、若い世代にどんどん席を譲ってほしい、と常日頃おもっているのですが、それでももっとこの方の言動はもっと見たかったという人が少数います。
その一人が昨年12月に亡くなった棋士米長邦雄さんです。
やっぱり年を重ねても子供のようにブッ飛んで、既成概念や慣習を無視して挑戦を続ける人はいるものです。
棋士としての実績は、言わずもがな。
亡くなる直前までツィッターでおやじギャクを交えた発言は目を離せませんでした。
https://twitter.com/yonenagakunio

そして、基本的にプロの間ではタブーとされるコンピューター将棋との対戦を引き受け、まぁ、それだけでもすごいのですが、敗退したことを主題に『われ敗れたり』という本を書き上げた懐の深さは、もっとすごいと思います。この本、軽快な語り口の中にも人間の将棋とコンピューターの将棋との本質的な違いについて語られていて、将来コンピューターがより我々の生活に入って来たときに、何がどこまでコンピューターに取って代わられるのか、を考えるよいきっかけになる良書です。

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

そして、「勝負」ということ全般にこだわりを持っていた米長さんは過去に面白い本を出版されていたりします。今日は忘れ去られつつあるのその本を紹介したかっただけです。
それは米長さんが株式投資に熱中するあまり、上梓されたこんな本です。正直ここで語られる株式投資のノウハウが役に立つかはさておき笑、冒頭で語られる男のロマンに度肝を抜かれました。
それは、株式投資で大金持ちになったら、イースター島の地上権を買って、自分の男性自身を型どった巨大なモニュメントを天高くそびえさせたい、という壮大な夢です笑
一流の棋士である米長さんが、自分の専門分野にまったく関係ないにも関わらず、自由闊達に熱中する話題について書いた本。内容以前に存在そのものが示唆に富む書籍、そんな一冊です。