平易な文章に理解の深さを問われる一冊か。野口悠紀雄著『「超」説得法』
何年も読書生活を続けていると、「この人が出した本はとりあえず読もう」という著者の方が何名もできます。「この人が新しく伝えたいことがあるなら、何はともあれまず聞いてみよう。何かあるはずだ」と思わせてくれる方です。例えば、その人が「効率的な便所紙の使い方」という本を出しても、私はその人の新刊は絶対に買います。
経済学者・野口悠紀雄さんはそのような私が信頼をおく著者の一人です。
そして野口さんが最近新刊を出されたので、また即読んだのですが、面白かったです。
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/04/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (6件) を見る
野口さんは著名な経済学者ですが、森羅万象に対するエッセイ『「超」整理日誌』もすこぶる面白く、私は学生時代に貪り読んだものです。
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/09
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (9件) を見る
野口さんの著書の特徴は、ぱっと思い浮かぶ範囲でもこのくらいあります。
1.発想がオリジナル
2.視野が広い(時間的広がり+場所的広がり)
3.言動の一貫性(明快に自説を言い切ってしまう)
4.読み手に対する精密な工夫
特に、日本経済に関する著書でも3の通り、明快に自説を言いきってしまうので、色んな批判に晒されている場合も多いようです。
しかし、私はこの「言い切る」という部分に野口さんの男気を感じており、仮に野口さんの見解に間違えてある部分があったとしても、それをきっかけに次の議論が生まれるわけで、なんというか、野口さんの論壇における偉大さにはまったく翳りを帯びさせないと思っています。