ネットに散らばる市井の賢人の一人:finalventさんが本を出版『考える生き方』
インターネットが完全に普及して情報が溢れ、そして溢れる情報から価値ある情報をキュレーションする手段がTwitter、Facebook、RSSフィード等で確立されつつある今、ネット上に質の情報を発信する「無名の賢人」にアクセスすることができるようになりました。恐らくネットやそれらキュレーションの手段がなければそれら賢人の言葉に一生触れることがなかったと思うとぞっとします。
さて、今日はそんな賢人の一人finalventさんを紹介します。
この方は、所謂「アルファブロガー」として認定されているので、無名というと失礼かもしれませんが、私の感触では「知る人ぞ知る」的なポジションだと思います。
finalventさんは2つのブログを運営されています。
極東ブログ 極東ブログ
finalventの日記 finalventの日記
どちらかというと極東ブログがメインです。
なお、finalventさんのプロフィールはここを参照してください。
極東ブログ
日々膨大な書籍に目を通されているそうで、極東ブログには書評中心です。
書評対象は、学術書から漫画まで多岐に渡るのですが、一つ一つの記事の密度が半端ない。やはり30年間蓄積されてきた造詣が各トピックの分析に厚みを持たせています。
例えば、漫画『ヒストリエ』の書評
[書評]ヒストリエ 1-6(岩明均): 極東ブログ
翌日の『王妃オリュンピアスーアレクサンドロスの母』
[書評]王妃オリュンピアス―アレクサンドロス大王の母(森谷公俊): 極東ブログ
私も『ヒストリエ』は超名作だと思うのですが、史実とストーリーを照らし合わせながら、この作品の面白さを細かく検証していったのはfinalventさんくらいだと思います。漫画だからと先入観を持たず、面白いテーマであれば何でも全力で切り込んでいく姿勢が垣間見れ、それ以外の記事も漏れなく読ませてもらっています。
余談ですが、このちくま新書の『王妃オリュンピアスーアレクサンドロスの母』は絶版になったにも関わらず名著として語り継がれていた本で、『ヒストリエ』の作者岩均さんも参照されたこともあってか希少価値が高まり、一時期アマゾンのマーケットプレイスで5000円以上の値段がついてました。今は、人気の声が大きかったからか、ちくま文庫で復刊されており、誰でも読むことができます。ちなみにちくま新書版の値段は暴落しました笑
アレクサンドロスとオリュンピアス―大王の母、光輝と波乱の生涯 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 森谷公俊
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/04/01
- メディア: 文庫
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finalventさんについて、私はこの方は、一体どんな方なんだろう・・といつも想像していたのですが、実は最近ご自身の軌跡を振り返った書籍を出版されました。
- 作者: finalvent
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 16人 クリック: 1,504回
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冒頭いきなり、ご自身の人生を「からっぽだった。」と。
この方が空っぽなら、誰がからっぽじゃないだ。。と思いながら読み進めると、きちんとこの発言の真意が語られています。
「たいていの人は自分と同じように、若い頃思っていたような希望に挫折して、それなり運命と折り合えって生きていく。」「しかし、世間的に社会的に、自分の意味はないとしても、自分の内面から見れば、それなりにある種の手応えのようなものがあれば、それを支えに生きていける。」
としたうえで、本書のなかでfinalventさんなりの支えとなっていること、そしてその支えをなるものが、人生の中でどのように形成されてきたのか、を本書内で語られています。
finalventさんによると、世の中、所謂「成功本」は多いが、「人生、失敗したなあ」ということを語る「失敗本」は少ないのではないか、しかし、世の中大半の人はそのような人生を送るのではないか。そして、そのような人々のために多少の絶望を予防させる「心のワクチン」になるのでないか。そんなfinalventさんの思いが本書には込められています。というわけで、私にはプラグマティックな希望の書に写ります。
、、、、というか、そもそも私は個人的には子供を4人も育てあげて、家族を経済的に支え続けられている時点で、十二分に「成功者」だと思うのですが。。。。
ただ、一般的な成功者が書いた本に何となく胡散臭さを感じている方などは、本書は電流に打たれる読書になるかもしれません。お勧めです!