童貞は漫画家予備軍のエリート?

先日は、何かを創造することを生業とする、クリエイターと言われる人達の創造性が減退するタイミングとして「幸せになってしまう」ことを指摘してみました。そりゃ、成功して、お金持ちになって、異性に恵まれ、自分がしたいことができるなら、何か既存の何かをぶち壊してやろう!という衝動が減退するのも理解できます。

逆にいえば、満たされない時間が長ければ長いほど、自分の中に創造性が蓄積されていく可能性もあるということです。
それを念頭において、この本を読むとめちゃめちゃ示唆に富みます。

人間コク宝 まんが道

人間コク宝 まんが道

この本では、プロインタビュアーの吉田豪さんが、今一線で活躍する漫画家にインタビューをしていくのですが、収録されている漫画家は、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の花沢健吾、「海猿」の佐藤秀峰、「カイジ」の福本伸行「バキ」板垣恵介、「デトロイト・メタル・シティ」の若杉公徳、「おぼっちゃまんくん」の小林よしのり、、等、私から見ると、異色の作品を上梓し続ける天才達です。

そして、この本が俊逸なのは、吉田豪さんが通り一辺倒な質問でなく、特に若い頃に満たされなかった経験、特に性体験を掘り下げまくった上で、今の創作物(つまり漫画)との関連を探っていくことです。どうやら吉田さんも「若い頃心身ともに満たされなかった経験が、現在の独創性につながっている」という仮説を持たれているようで、絶妙の質問をしながら、そのあたりの全体像を浮き彫りにされていきます。

読んでいくとわかるのですが、平たくいうと、童貞でしゃれにならないくらい悶々という時代を過ごす、所謂「童貞をこじらせる」経験があるほうが、猛烈な妄想な情念を自分の内部に蓄積することなり、それがやがて「作品」というかたちで炸裂する。それが、彼ら天才の独創性のエンジンになっているようです。

満たされない思いというのも、創造活動には悪くないのかもしれません。

というわけで、今、悶々している童貞諸君に伝えたい!
大丈夫だ!
今、君の内部に未来に花咲く創造性が宿り始めてる!。。。笑