地震は怖い、破局噴火はもっと怖い:『死都日本』

東日本大震災により、天災の恐ろしさは我々の脳裏に深く刻み込まれました。
一方、起こってしまえば大震災(地震+津波)の桁外れの人的・物的損害をもたらす天災があります。
破局噴火です。
破局噴火 - Wikipedia
破局噴火とは一言でいうと、「桁外れの規模の噴火」を指します。この噴火が起これば、周辺の広範な土地をすべて焼き尽くし、飛び散る火山灰は地球全体を寒冷化さえ、生物の生態に大きな影響を与えます。特に大規模な火砕流、そして火砕サージが数百度の熱風として高速で駆け巡り、周辺の都市を丸ごと飲み込んでしまえば、数百万単位の被害も予想されます。

破局噴火」は学術用語ではないらしいのですが、そのような大規模噴火は確かに起こった形跡が、今の地球に残されています。まさにポンペイはその代表格。もちろん火山大国日本にも形跡があり、「日本で絶対に破局火山が起こらない」とはいえないのが実態です。

この「破局噴火」という言葉を作り、広めたと言われるのが石黒耀『死都日本』です。

死都日本 (講談社文庫)

死都日本 (講談社文庫)

これは九州の霧島火山帯が破局噴火した場合、日本列島がどうなっていくかをシミュレーションしたSF小説です。

霧島火山帯

この小説、猛烈に引き込まれます。
なぜこの小説にこんなに魅かれるのか考えてみたところ、やはりギャップにありました。
文中の学術的、論理的、冷静な説明・解説と、残酷にも人の命が塵と消えている感情揺さぶる描写とのギャップが激しいのです。
話の構成も巧みに練られており、冒頭のポンペイの描写から目が離せません。お薦めです。

なお、この小説のガイド本みたいな良書も出版されていて、合わせて読むと4倍くらい楽しめます。

破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日 (祥伝社新書126)

破局噴火-秒読みに入った人類壊滅の日 (祥伝社新書126)