立花隆さんの新著『立花隆の書棚』が遺言っぽく感じる

今日、立花隆さんの新著『立花隆の書棚』が書店に並んでいました。

立花隆の書棚

立花隆の書棚

タイトル、5cmくらいある厚さ、そしてネコビルを彷彿させるカバーの黒色、一目で立花さんがご自分が所有する膨大な蔵書を紹介する著作だとわかりました。そして、何かこの著作が立花さんがこの世の仕事の総決算をしている気がして、書店の片隅で一瞬呆然としてしまいました。数年前ガンになられた時も、その実体験と詳細な調査を合わせて、逆にガンについて素晴らしい著作を上梓したり、エネルギッシュな活動を続けておられたのですが、立花さんも人間なので年波から無縁というわけではないでしょう。
がん 生と死の謎に挑む

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本書は中央公論新社の「○○の書棚」という著名人の書棚をくまなく撮影して本にするというシリーズの一つだそうです。書棚の撮影は、書棚というものに異常なほど興味を持った薈田純一さんという写真家の方が担当されているとのことです。
よって本書は、立花さんの書棚の膨大な写真と解説が収められるいるのですが、各書棚の前で実際に立花さんに語ってもらって、それをヒアリングしたライターがまとめ、立花さんがチェックするという形式なので、話があちこちに飛びます。
ただその分、自由に語っておられることが行間から滲み出ており、次のページが何の話題になっているのか全くわかりません。
ただ、知的好奇心くすぐる語り口はさすがで、これからゆっくり楽しんでいこうと思います。そして、この著作が遺言のように感じるという私の直感が間違いであることを心から願っています。