戦略と計画の違い

もはや経営だけでなくライフスタイルを語る際も、「戦略」という言葉が使われます。
これを開けっ広げにいうと、色々仕事に障害がでてくるのであまり言わないのですが(笑)、実は、私はビジネスやライフスタイルの話題で「戦略」という言葉が多用されることについて、猛烈な違和感を持ってます。例えば、「その「戦略」という言葉を「計画」という言葉で置き換えても問題なくね?」とか心の中で突っ込みを入れていたりします。
その違和感の根源は、所詮命のやりとりがないビジネスや日常生活の話題で、この言葉を使っていいのか。「血の臭い」がしないところでこの言葉を使っていいのか、という疑問です。
私はこの違和感を大切したいと思っています。

とは言っても、確かに「戦略」と「計画」は別物だとおもいます。
その違いについて私の意見を書いてみたいと思います。
この見解は、実は私の意見でなくて、10年近く前に読んだ岡崎久彦さんの本でさらっと書いていたのですが、未だにそれがピンときているのでここで紹介します。
確か下のどちらかだったと思うのですが、すみません、記憶が定かでありません。

それは一言でいうと、目標と情報収集の順序の違いです。
目標を先に決めて、それを達成するために情報収集するのが、計画。
まず情報収集をして、その中で実現可能な目標を定めるのが、戦略

「計画」は一般的には、まずその計画の目標があって、その目標達成に必要な情報収集を行います。そして目標達成のために行動を起こす、この順番です。
一方、「戦略」は、専ら、失ったら取り返しのつかない人命が係る戦争を司るものです。よって、戦争においては、あくまで実現可能な範囲にある現実的な目標を設定しなければなりません。戦争は勝つことが絶対命題のように言われたりしますが、情報収集の結果、勝てないと判断すれば、「速やかな撤退・降伏」が最適な目標となることもあるでしょう。

換言すれば、
計画は、目標が情報を決める。
戦略は、情報が目標を決める。

これが捻じれるとややっこしいことが起こることは、歴史が示す通りです。例えば戦争において、甘美な目標を掲げて、それに向かって気合で爆進した結果、味方が全滅、などの例です。
有る意味、人命を大切にしたい、という思想が戦略という概念を生んだのでしょう。

よって、「戦略」を考える上で、最大の論点は、「どのような情報をどのように収集し、分析し、目標設定に繋げるのか」だと思います。この「情報収集」の論点ってあまり語られないと思います。私の実感では、経営戦略の教科書より、CIAやモサドなど諜報機関やそれらの活動に関係した人物、歴史から得られる知見が、このテーマの示唆に富むと思います。
それもまた別の機会に詳しくとりあげたいと思います。