吉田豪さんはすごい(2)

先日は情熱大陸の他、2本の動画を紹介しました。
初めて観られた方はかなり楽しんでいただけたのではないでしょうか。

私の感覚では、吉田豪さんは各雑誌の記事、書籍の他、「豪さんのポッドキャスト」や前回紹介したマイナーなテレビ番組により、(私のような)熱狂的な支持層を水面下で増やしていき、テレビ東京ゴッドタンの「ゲーセワニュース」、同やりすぎコージーの「都市伝説」のコーナーでの活躍で知名度が一気に全国区に広がり、今は大阪の芸能番組等も含め、あらゆる媒体で広く活動されはじめたという印象です(深夜→ゴールデンタイム)。昨年は新宿歌舞伎町のロフトプラスワンで開かれたイベントに参加したのですが、ゲストで来られた方が秋元康さんでした。
そして年末の情熱大陸出演。これでどう潮目が変わるか、というのが足下の状況かと勝手に予想しています笑

今日は私なりにそんな吉田豪さんの面白さと凄さを整理してみたいと思います。

1)取材対象を徹底して調査する姿勢
取材対象に対する「最低限の礼儀」と仰ってましたが、これを実行するのって言葉以上に大変だと思います。著書がある場合はそれを全て読むわけですし、過去の発言を調べるには恐らくデータベース化されていない雑誌の記事等を探し当てて読み込む。。。想像するだけで膨大な労力です(よって、実行する人あまり多くない)。
しかし、これをするとしないのとでは、質問の質が雲泥の差。実際、よく考えると吉田豪さんのインタビューの面白さの全ての原点は質問の面白さにある気がします。本人の著書を読めばでてきそうな質問は一切ありません。吉田さんの発言から察するに、まず事前調査でその方の「香ばしい」部分や、「明らかに普通じゃない」点を探し出し、その部分を深く聞きだすために全体の質問を組み立てる、しかし相手に警戒心を持たせないように軽いノリと堅気にみえない外見で臨む、という感じと思われます(笑)。

さらに、昨年9月に出版された書籍『電池以下』を読むと、何と取材対象者のTwitterまで読まれて質問を補強されています。確かにTwitterの短い発言にその方の直近の生の感情が刻まれていたりもするでしょうから有用な情報ですが、そこまで徹底する姿勢には脱帽です。キャッチフレーズは、「本人より本人に詳しい」なのですが、本当にその通りだと思います。

2)ぶれないスタンス
フリーとして独立されてからは、リリー・フランキーさんのアドバイスより「仕事は何でも受ける」ことを基本方針とされていたそうですが、取材対象はあくまで、芸能人、アイドル、プロレス等、いわゆるサブカルの分野ということで一貫しています。
さらにインタビュアーとしての姿勢も一貫していて、インタビューで自分を語らないことを信条とされています。聞き手に徹することを徹底されているわけです。その流れで自分のプライベートを一切ばらさないことも徹底されています。情熱大陸にあったとおり、長年の知人であるリリー・フランキーさんですら吉田さんのプライベートを殆どしらないとのことです。恐らく自分がタレント化して、行動に制約がでてしまうことを回避しているように思えます。
この意味で吉田さんのモットー「死ぬまで現状維持」は結構覚悟の籠った言葉のような気がします。

自分のことは徹底的に消す一方で、インタビュー中の雰囲気・空気感をそのまま伝えることは、最大限の工夫をされています。軽い空気なら軽い空気のまま、重い空気なら重い空気のまま読者に伝わるように表現を工夫されています。文章中にでてくる(あっさりと)(キッパリ)とかはその代表例です。

3)聞きやすい声色
意外と重要だと思うのが声色です。芸人とかでも同じ内容を喋っていても声色で面白く感じたり、つまらなく感じたり、そのくらい重要なものと思います。吉田豪さんの声色は耳に心地よく、聞き入ってしまいます。
もちろん磨かれた知性も抑揚などには影響を与えているでしょうが、基本的に声色は才能と思います。

4)全てを支える膨大な知識量
情熱大陸でも紹介されていましたが、吉田さんはタレント本を4000冊以上所蔵されており、趣味は古本屋巡りとされています。ありとあらゆる芸能人・タレントに関する膨大な知識とそれにより磨き抜かれた感性が、ユニークな発想のインタビューを生み出すベースになっていることは間違いありません。
例えば、最近吉田さんは坂東英二さんの事件に関して、Twitterでこのようなつぶやきを投稿されていました。

こういった情報をぽんと出せるところをみると、背後にある膨大な知識の蓄積を感じます。

そして、動画の中で吉田さんがタレント本の面白さを語る部分があるのですが、それがまた俊逸です。

タレント本が好きなのは、伏線がひかれているんですよ。いろんな出来事の。何か事件が起きたあとによむと必ず何かあるんですよ。面白いのが、例えば、タレントさんの息子、つまり2世タレントがよく事件起こすじゃないですか。2世タレントが問題を起こす場合は、必ず親が子育て本を書いているんですよ。そして間違ったアドバイスをしてるんですよね(笑)
博士の異常な鼎談 前編2/3 40秒あたりから)

一方、書籍4000冊分の情報(他の資料も含めるときっとその倍以上の情報量)に対して興味を維持し、没頭し続けられるのは、強制や規律によっては絶対に無理でしょう。本当に心から好きで、面白くてしょうがないのだと思います。
よって、このようにタレント本を心から面白い!と思えたことが吉田豪さんの幸運であり才能なのだと思います。
この才能は「死ぬまで現状維持」というモットーのもと、さらにブッ飛んで香ばしいインタビューを発信し続けられるでしょうから、今後も逐一フォローしていきたいと思っています。

※著書紹介(一部)

サブカル・スーパースター鬱伝

サブカル・スーパースター鬱伝

人間コク宝 まんが道

人間コク宝 まんが道

花沢健吾さん等エッジの利いた漫画家が多数収録
電池以下

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元アイドル!

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↑先日、アマゾンのマーケットプレイスで購入

吉田豪さんがタレント本について語る記事
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