冨山和彦さんからビジネスの実態の泥臭さを学ぶべき

今週は比較的、アップルの実態の話や価格競争から脱却するための経営判断の話など、、ちょっとビジネスの分野のかっこよさげな話を書いてきましたが、何が企業の収益源になるかは、本当に業界、市場、個々の企業のビジネスモデルにより違ってきて、ただ経済効率性を追求することだけが答えじゃないことが多々あります。「まじ、こんなことが重要なのか?!」と驚くこともあったります。

私が個人的にアドバイザー関わらせていただいているある会社の話を紹介します。所謂成熟市場に属し、自社製品を商社経由で販売するビジネスモデルが収益の大半を稼いでおり、その商社に対する営業がルーティン業務になるのですが、その営業において重要なことはなにか。

先鋭的な商品の提案を提案することか。
商品の製造or仕入を効率化し、価格の面で競合製品との差別化を図ることか。
トップ営業を行い大型案件を捕まえることか。その他新規案件を模索することか。

上記のアクションは中長期的な収益性を確保するにはとても大切なことでしょう。
しかし、足元の受注を固め、一定の収益の確保するために最大のポイントは「内勤の女性の心をつかむこと」なのです。

実は、同社が普段受注する各案件の割合は、この商社の売上規模に比して決して大きいものでなく、小型な案件を沢山かき集めることが営業活動の重点となります。そしてその商社にとっては、小型案件なので発注権限を幹部から現場に与えています。そして、その現場の男性メンバーは、彼らは彼らで営業にでている場合が多いので、内勤の女性メンバーが実際の発注権限を預かります。そして、それら小型案件の場合、多少の価格差よりも迅速に注文を受ける体制があるか、在庫があるか、納期を守れるか、などなど、注文業務が滞りなく流れていくことが重視されます。そのためには、日頃からそれら女性社員と懇意にしておく必要があるのです。本当にその女性達の「気分」で仕事が決まることが多いのです。ここに高度な商品設計や経営戦略の話など露ほどもでてきません。

しかし、ビジネスの実態は多種多様。故に、収益がこのような経済合理性からかけ離れた要因で決定されることもあるのです。
ビジネスの実態は、本当に多岐。やはり統一理論などあるはずもなく、一つ一つ各ケースごとにその本質を見つめるしかないのでしょう。
そのあたりのプラグマティズムを私が教えられているのは、経営競争基盤のCEO、冨山和彦さんの数々の著書です。特にこの本、本当にオススメです。

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