商品開発を「依存性」という視点から考える

商品またサービスを設定する時に、本当に重要な視点を提供してくれる記事を見つけました。
mixi衰退の最大のミスは足跡機能廃止にあったという、いまさら解析いかがですか? - More Access! More Fun! %

筆者の永江さんは、「栄えるWEBサービスに必要な要素」として「依存度を高める」ことと仰ってますが、これはWebサービスだけでなく、他の多くの商品・サービスにも応用できる至言だと思います。
「お客様に満足していただく」とか「お客様に幸せになってもらう」とか抽象的な表現でなく、よりピントを明確にした「(お客様の)依存度を高める」ことであることがポイントだと思います。

私がこの話を読んでまっさきに思い出したのは、お菓子作りが趣味の親友でした。
彼とはもう10年以上の親友なのですが、優しく、人格も素晴らしく、美しい奥さんをもらって海辺の街で幸せに暮らしています。彼は仕事とは別に趣味を持っていて、それはお菓子作りです。
毎週末、それはそれは美味しそうなお菓子を一つ一つ丁寧に作って、facebookにアップするのですが、それを見る度に甘党の私は液晶画面をたたき割りそうになります。

そんな彼が以前、一度、お菓子作りを仕事にしようか悩み、私に相談に来ました。
色々話した後、その時は諸般の事情を鑑みて辞めたのですが、いつかまたお菓子作りを本業として挑戦をするのでは、と思っています。そしてその時、私はきっとアドバイスという形でしょうが、できるだけ協力したいと考え、既にどういうアドバイスをしようか勝手に妄想しています笑。

そんな中、上記の記事を読んで、その友人について浮かんだ疑問は、「彼は依存性のあるくらいの製品(ケーキ)を作れるだろうか」ということです。さらに「そのくらいインパクトがある製品を作らない限りビジネスとしては成り立たないのでないか」ということです。

というのも、お菓子業界はかなり厳しい競争環境だと思います。
私は今、都心から電車で1時間かかる千葉県の街に住んでいます。その街の駅から10分以上離れた場所にあるパティスリーでさえ、フランス帰りのパティシエが素晴らしいケーキを作っています。店内には、フランスのラジオを流しっぱなしにする凝りよう。焼きりんごとキャラメルのミルフィーユなんて鼻血がでそうになるほど美味しいです。
つまり、高い技術を持った職人の方が飽和状態にあることが一点目。

そして、近年、コンビニのお菓子が異常にレベルアップしています。
ローソンのUchi Cafeというシリーズがあるのですが、あのロールケーキ(100円台)なんて、中途半端な洋菓子屋のケーキをすっ飛ばすくらい美味しいです。
つまり、全国に数万散らばるコンビニまでが市場に参入してきたことが二点目。

この競争環境の中で個人の洋菓子屋さんが生存するには、商品に相〜〜〜〜当な競争力がないと厳しいと思います。

一方、心やさしく真面目な彼は、天然素材を使い、体に優しく、甘さ控えめのお菓子等、を作ってしまいそうな気がします。人々に美味しく、さらに体にもいいケーキを食べてほしい、そんな高尚な理念を持つ製品を作ってしまう気がします。
しかし、もし本当にそうなった場合、ビジネスとしては、、、厳しい話、競争の渦の中に埋もれてしまい、商業的成功は難しいと思いわれます。

そこで、商品差別化のヒントとなるキーワードが、この「依存性」だと思われます。
要は多品種少量生産でなく、限られた数の依存性のある商品を作る、これしかないと思います。
そして、商品に対する依存性を高めるためには、必要とあれば砂糖をドバー、化学調味料をちょちょちょいと入れることを躊躇すべきでないでしょう、商業的には。
お客さんが食べることに罪悪感を感じてしまうのもかまわないでしょう。逆に「食べるのに罪悪感を感じる、けど食べちゃう。。」というのが、商業的には理想的な気がします。

例えば、天下一品、ラーメン二郎等(←ラーメンばっかり汗)、所謂中毒患者がいたり、信者がいるような食べ物は、お世辞にも健康に良さそうではありません。しかし、どんなに他のラーメン屋に行こうと結局私はまた、天下一品神田店の暖簾をくぐってしまうのです。

話は飛びますが、かのスティーブ・ジョブスがあんなに自社製品のユーザーユースに拘ったのも、依存性を高めるため、操作性を最大限までスムーズに、また直感的に理解できるようにしたのでは、と思います。

自分が作る製品やサービスに対する「依存性」。関わっている方は一度発想の重心を考え直してみるもの手かもしれませんね。