進捗報告 プロジェクト進捗支援のためのアイデア

久々の更新で申し訳ないが、水面下で面白そうなアイデアを具現化していたのでご容赦いただきたい。

さて、目下完成した英訳プロジェクトを除くと、現行のプロジェクトは、フランス語ポーランドスペイン語ドイツ語ハンガリー語韓国語イタリア語の7つである。
この中で4つのプロジェクトのリーダーは日本人ではないが、私は以前よりこの海外にいるリーダー達が担う負担は軽くなく、作業の進捗に大きな足枷になることを懸念していた。海外にいるリーダー達は、自分一人でメンバーを集めて作業を分担し、実際の翻訳作業を行い、翻訳が完成したとしても、その成果物を公開するための媒体をも自分で考え、構築しなければならない。その一連の作業を、そのリーダーと少人数の有志達のみで行うのは大変な作業であり、ただ「将棋が好き」という動機のみでは、それらの作業が飛躍的に進捗しないのは自明と思えた。
そこで、プロジェクトの進捗作業に対する参加者の敷居を可能な限り下げられないか、アイデアを模索していたが、今回、そのアイデアをイタリア語訳プロジェクトリーダーのMarco Milone氏と協力して実験的に具現化した。

そのアイデアとは、Modern Shogi Italia / FrontPageである。

一見、無事イタリア語への翻訳作業が終了し、英訳プロジェクトで使用されたものと同じ媒体、つまりWEB上の共同作業プラットフォーム"PBWorks"(https://plans.pbworks.com/)を用いて成果物を公開した様に見える。
実は、違う。
確かにPBWorksの無料版であるBasicを使って、イタリア語訳を公開するためのプラットフォームを構築した。
しかし、現在翻訳として入力されているものは、私がGoogleの翻訳機能で英訳をイタリア語訳したものである。つまりMarco氏の成果物ではない。

私がこのアイデアを閃いた経緯は、実験でGoogleの翻訳機能を用いて公開中の英訳(Yoshiharu Habu and Modern Shogi / FrontPage)をフランス語訳した時である。翻訳結果を見た正直な私の感想は「そんなに悪くない」ことであった。やはりヨーロッパ圏の言語群は言葉そのものが類似する上に、基礎的な文章構造を共有するので、Google等のWeb翻訳を使用しても比較的精度の高い翻訳を得られるのだ。
そこで、私はこの事実を、海外で奮闘するプロジェクトリーダー達のサポートに応用できると直感した。
つまり、私がPBWorksを用いてWeb上に翻訳の公開場所を構築し、Googleで作成した「仮翻訳」をその中で公開しておくことにより、海外のリーダー(とプロジェクト参加者)は、「一からWord等に翻訳を書き溜め、作業終了後公開する手段を考える…」等煩雑な手段を採るのではなく、ただ時間がある時気ままに「Wikipediaの記事を編集する感覚」で作業に取り組めるのだ(PBWorksは、「アカウント作成さえすれば、誰でもコンテンツを編集可能」に設定できる)。この仕組みによりプロジェクト着手の敷居を大幅に下げられることを期待している。しかも、「自分の作業成果が逐一Web上で公開されている」というミニ達成感も、作業を進捗させるインセンティブに寄与し、ある意味「二重のインセンティブ」が働いてくれることも期待できる。

それらのアイデアをイタリア語訳プロジェクトリーダーのMarco氏に相談したところ、「役に立ちそうだから、是非作ってほしい」との返答を得たので、今回実験的にイタリア語訳版のみ限定的に立ち上げた。現在、イタリア語に限定して実験的に行っているのは、翻訳のクオリティの最低レベルが担保されていないという重要な問題が残っているからである。上述の通り、Google翻訳は同種族の言語間では比較的精度が高いと考えられる。しかし、例えば、私が機械翻訳したイタリア語が、Marco氏の目から見て部分修正せず一から書き直した方が早いくらい、全体的、網羅的に間違えている可能性もある。その場合はサイト自体の存在意義が薄れ、改良または閉鎖も視野に入れなければならない。

その点は今後Marco氏と連絡を密にして、実際の作業効率が上がりそうか、そうでもないのかをモニタリングしながら、慎重に検証作業を続けていきたい。また経過は当ブログで報告する。

ただ、もしこの仕組みが参加者の作業効率を上げ、各プロジェクトの進捗に寄与するなら、プロジェクト全体をまた一つ大きく飛躍させられる可能性がある。なぜならGoogle翻訳だけでも40ヶ国語以上の言語をフォローしているからだ。そのアイデアの詳細はまた別の機会に紹介したい。