第1案 ボードゲーム『Capitalism』 〜モノポリーの新しい楽しみ方から〜
- 出版社/メーカー: タカラトミー(TAKARA TOMY)
- 発売日: 2008/04/24
- メディア: おもちゃ&ホビー
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突然だが、モノポリーというボードゲームがある。
知っている方には、以下のような新しい楽しみ方を提案したい。
ゲーム開始前、10cmx3cm程の厚紙をプレイヤーにつき10枚用意する。
例えばプレイヤーが4人なら、10枚×4人=40枚である。ただ、プレイヤーごとに紙の色を変える。よってプレイヤー4人なら、4種類の色の紙を10枚ずつ用意することになる。
この大量の厚紙を何に使うのか。これは、各プレイヤーの"株式"としてゲーム中に使用する。各プレイヤーは"株式会社"であり、「創業者であるプレイヤー自身が株式を10枚発行して設立した」と仮定する。
具体的に、どのように使うのか。
まず、一般的なゲーム進行に従うと、各プレイヤーは一定額の軍資金を持ってスタートする。例えば1000万円なら1000万円を"現金"として持って、全プレイヤー、一線でゲームスタートだ。これなら普通のゲーム進行である。
しかし、「新」モノポリーは、各プレイヤーはスタート時に"現金"と"株式"を持ってスタートする。
プレイヤー4人の場合、各プレイヤーは、スタート時、現金400万円と他プレイヤー3人の株式を2枚づつ計6枚有する。スタート時にプレイヤーの総資産は1000万円であり、それを10枚の株式の発行で調達したのだから、株式一株の価格は、1000万円/10株=100万である。よって、各プレイヤーは、現金400万円+株式100万×6枚=計1000万円を有していることになり、スタート時のプレイヤーの経済的条件は、従来のゲーム手法と同じである。資産構成だけを変えたのだ。
つまり、仮定としては、"プレイヤーは株式10枚発行して、1000万円現金を調達し、そのうち600万円で、他のプレイヤーの株式を2枚ずつ買った"ということになる。新ゲームはこの仮定の下、スタートする。
ゲームの進行の中で、株式については、"基本的に現実の株式と同じ扱いをする"とする。
つまり、株式は、そのプレイヤーの「所有権」であり、もし他のプレイヤーに自分の株式を過半数以上、つまり6枚以上入手されたら、完全に買収されてしまうことになり、ゲームオーバーだ(または買収したプレイヤーの配下として、細々と生活するとか)。
また、売買はプレイヤー間で基本的に自由だ。自分の番が回ってきたときに、サイコロを振る前に売買する。取引の値段についても取引当事者の完全に自由だ。試合進行応じて、勝っているプレイヤーの株は高値で取引されるだろうし、負けているプレイヤーは安値で取引されるだろう。
この取引がゲームに立体的な面白みを加える。
特に、"スタート時、各プレイヤーが自分で過半数を有していない"ということがポイントになる。つまり、ボロ勝ちしているプレイヤーも、自分の株式の過半数をこっそり他のプレイヤーに入手されていたら、その時点で彼はゲームオーバーなのだ。
しかも各プレイヤーとも少なくともスタート時点では、他の全プレイヤーの株式を有しているので、うまく戦略的に立ち回れば、たとえゲームで負けていたとしても終盤に至るまでキープレイヤーであり続ける可能性がある。中盤に、その貧窮を極めたプレイヤーが、所有するトッププレイヤーの株式を格安で売り出さざるをえない、、さぁ、誰がいくらで買い叩くか!なんて状況も起こりうるわけだ。
現実の企業世界のように合従連衡を繰り返し、「不動産」というモノポリーというゲームにおける"シェア"を奪い合う戦いも、多面的に展開可能だろう。
その他にも、プレイヤー間の処々の取引に関して、多数の金融商品が開発可能だ。例えば、
・500万円の貸出。担保は債務者が保有する"Aプレイヤー株式"とする
・利息はボード周回あたり10万円
・貸出の期限は10分間とし、それ以前に返済がない場合、担保株式は自動的に債権者に収得される
キャッシュリッチなプレイヤーが、貧窮プレイヤーに対して上記のような金融商品を提案しながら、ゲーム上で彼をさらに貧窮状態に追い込み、担保株式強奪を狙う…なんて暗躍も可能だろう(10分の管理はミニ・ストップウォッチで行うとよいだろう。もしかすると大量のストップウォッチを準備するのが必要となるのかもしれない…)。
先物取引等デリバティブも原理的には可能であり、貪欲極まりなくプレイヤーの戦術は無限の広がりを持つはずだ。
どうだろうか?面白そうではないだろうか?
実は、まだこの形式で実際にゲームをしていないので、また興味がある人を集めて実験したいと考えている。結果は随時報告したい。
実は、このゲーム形式の展開には、続きがある。
もし、各プレイヤーを上場企業と仮定したらどうだろうか。
証券取引所に各プレイヤーの株価が逐一表示され、各プレイヤーは短期的/長期的キャピタルゲイン獲得を目指して頻繁に株式売買が可能だ。株式の「流動性」が飛躍的に高まる。具体的に証券取引所は、ノートパソコン上の表計算ソフトを使って行う。誰か一人が、各プレイヤーのゲーム上の終始をその表計算シートに入力し、予め組み込んである数式で瞬間的に株価を計算させるのだ。
もちろん株価の算定式をどのようにするかについては、工夫が必要だが、ファンダメンタル的要素と投機的要素の双方を生かした数式のアイデアはある。現実の世界に投影できるかはともかく、ゲームとして充分に楽しめそうなものだと思う。
というのも実は、学生時代、今から8年程前になるが、「証券取引所」のプロトタイプを作成し、私が入力役を担いながら、友人にゲームをプレーしてもらい、ゲーム展開を検証したことがある。友人より「面白い」という感想を受けている。
下記、プロトタイプだが、下記、証券取引所の中の概観を紹介したい。
[データ入力室]このシートに各プレイヤーの金銭の増減を打ち込む。自動的に集計、計算され、株価に反映される。
[株価表示パネル]各要素を考慮に入れて計算された株価がここに大きく表示される。各プレイヤーは、ゲーム中いつでも観覧可能。
[株式取引入力室]株式の売買量も株価を変動される大きな要因となっているので、各取引を入力する。
[株価計算中枢]その名の通り、各要因の変動を受けて、株価を瞬間的に計算する当取引所の中枢機関。上に移っている数式がプレイヤーCの株価を計算する計算式の一部。
[株価変動チャート]各プレイヤーは当然自分も含めた全プレイヤーの株価の変動をチャートで確認しながらゲームを進行できる。しかも、条件を入力すれば、その条件に基づいた将来の株価予想をシミュレーションできるシステムも開発されており、下の図は、上の条件に基づき、ゲーム終盤までの株価をシミュレーションしたものである。
[株価変動要因分析室]現在の株価に対する各変動要因ごとの影響力を分析。変動要因が多く、また株価の計算に循環計算を採用しているので、作者である私自身も変動要因を掴めないことが多い。よって重宝した。
以上がプロトタイプの証券取引所の概観だ。ここでやたらと"プロトタイプ"を強調するのには理由がある。
実は、さらにさらに、今、このゲームを発展させた構想がある(故に今後日の目を見ることのないだろうプロトタイプを積極的に公開したのだ)。
大きな一つは、外国を作ること。具体的には、もう一枚同じボードを用意し、二つをくっつける。その上でプレイヤーはゲームを展開する。
このことにより、プレイヤーも自国、外国を含めてグローバル展開を考えられる。外貨変動という要素も混入し、プレイヤーの戦略はさらに複雑性を増す。
そして"国"が生まれるということは、プレイヤーの他に「政府」というプレイヤーが生まれる。国が2国あるということは、新たに2プレイヤー加わることになり自国の発展度合いで競うことになる。各国首脳役のプレイヤーは、公定歩合等の金利や各種財政政策、優遇策でプレイヤーにとって自国を魅力的な国にすることを競う。勿論国の発展度数は数値的基準を設け、明確に勝敗が決まるようにする。
その他、すべてにおいて、ゲーム構造自体をより現実に即し、戦略性に溢れるエキサイティングに作り変えて、完全にモノポリーから脱皮させてしまう計画を立てている。一言でいうと"資本主義社会を体現したようなゲーム"にしたいと考えている。
そのゲーム構造の大まかな設計図とゲーム名のみは頭にある。
ゲーム名は、『Capitalism』。
これ以外考えられない。
さらに、ビジョンとしては、青少年の経済リテラシーを高める教材として、このゲームは面白くなるのではないかと妄想している。私の予想では、このゲームの進行上に資本主義社会のよい面も悪い面も垣間見れるはずとでている。
当プロジェクトの具現化状況もブログを通じて具現化具合をレポートしていこうと考えているので、もし、他に破壊的なアイデアを持たれている方は是非、ご協力願いたい。