組織って好循環か悪循環しかなくないか?

企業経営を現場から見続けて最近認識を新たにしたのは、広い意味で「組織って好循環か悪循環しかなくないか?」ということです。

最近アドバイザーをしている会社である大きな問題が起こりました。
この会社は半年に一回くらい全社的に取り組む必要がある作業(社員ほぼ全員参加)があるのですが、今回その作業を仕切った担当マネージャーの段取りが悪く、作業が未完遂であることに加え、結果も不正確ということが判明し、全社的な問題になってしまいました。
そのマネージャーの方は新任で、その作業を仕切るのは初めてであることもあって、他のシニア層のマネージャーからは「あいつは使えない」的なレッテルが張られかかっているようです。さらに担当マネージャーの責任回避ともとれる発言が火に油を注いでいる模様です。

一方、私が調べたところその担当マネージャーの方は今までのやり方をそのまま踏襲せず、自分でよりよい方法を考えて実行してみたそうです。ただ、オペレーションのデザイン(必要時間、必要人員、作業手順、その他段取り)が詰められていなかったので、今回の混乱に繋がったとのことです。つまり、悪気はないと。

この情況を見て、私は二つのシミュレーションが頭をよぎりました。
まずは放置パターンです。まず、担当マネージャーはつるし上げにあい、社内評価の下降します。そしてそのマネージャーを雇った社長にも社員から不信感が寄せられます。結局のその作業はもう一回やり直すことになり、参加社員の不満増幅します。しかも作業の方法は依然のまま、つまり未改善です。さらに、一連の動きに対するマネージャー層に対する末端社員の不信感が高まります。そして、社員間の情報交換がうまくいかず、業務改善なく、また問題が発生する。。。
つまり悪循環です。

そして改善パターンです。まず、社長が必要な資質がないマネージャーにその作業を任せてしまったことを自分の責任と認識します。そして、作業を改善しようとした意思は正しいことを伝え、今回何が問題だったのかを洗い出します。そして、解決策を携えて関係社員一人一人を一対一で訪ねて、今回の事態に対する謝意を表した上で、解決策に対する協力を要請します。ここまでのスピードは早ければ早い方がよいでしょう。
社員としては、マネージャーの誠実な謝意と一人ひとりに対する細かい対応、そして迅速な対応策の作成、実行にそれなりに感銘を受け、逆に信頼を高めます。
そして、それを仕切った社長の問題解決能力の高さにも社員は感銘を受け、より信頼を集める。。。。
つまり好循環です。

まぁ、悪循環も好循環もこのようにきれいにはいかないでしょうし、色々ずれたりするでしょうが、基本的に組織はこのような「すべてよいか」「すべて悪いか」のメカニズムに陥る可能性が高いと思います。というのも、組織を構成する人間は感情を持っており、感情は慣性を持っているからです。ある一定の方向に動き始めたら基本的にその方向に進むのです。
さらに、「楽観は意思、悲観は感情」とよく言われるように、感情というのはどちらかというと負の方に流れる可能性が高いので、組織も悪循環の方に動く可能性が高いと思われます。

では、すこしでも組織を好循環に持っていくには、どうするか、それはもう経営トップの言動以外ないと思います。きっと組織の仕組みで何とかするのは無理かと思われます。