極寒のロシアを観て、物事の切り取り方・見せ方が質に与える影響を考える

最近ネットでこんな動画を見つけました。

極寒の大国で見た心優しき人々の姿に「感動!」「泣いた…」続出
http://japan.digitaldj-network.com/articles/13456.html?utm_source=buffer&utm_medium=twitter&utm_campaign=Buffer&utm_content=bufferc5544

ロシアでは車にデフォルトでカメラが搭載されているそうですが、そのカメラが捉えた人々の善意をまとめたものが、この動画です。
本当にいい動画です。是非観てください。私はここ半年で観たどの映画よりも感動しました。
この染みいる感動は何だろうと思い、無粋ながらちょっと分析してみました。

1)車のフロントガラスで切り取られた画面
これらの動画はすべて車内カメラで撮影されているので、当然フロントガラス越しの撮影となっています。これが映像に「第三者感」を与え、わざと善行を探して撮りに行ったものではないという自然さを与えています。フロントガラスで切り取られた画面が、あくまで「たまたま撮れたもの」という印象を守り、映像に感動を増加していると思います。

2)冬の寒さ、荒涼感とのギャップ
撮影場所はロシアなので、雪の積もる風景や、荒涼感のある街並みが舞台となっています。画質もあまりよくないのが、それに拍車をかけているように思えます。その画面の「寂しさ」が逆に人々の善高の暖かさを際立たせていると思います。風景の寂しさと人々の行動とのギャップ、それも感動を倍加させていると思います。

3)音楽
そして、勿論、この悲しげなBGMです。所謂名作といわれる映画・ドラマの多くは、素晴らしい音楽が付随しています。やはり素晴らしい音楽というのは心を揺さぶります。率直にいって、音楽による心の揺さぶりは、視聴者に「映像を観て心を揺さぶられている」と錯覚させる効果があると思います。ただ、この素晴らしい錯覚をいかに起させるかが、映画監督なプロデューサーの力量なんでしょう。

このように、自然に撮ったように見える動画のなかにも、人に感動を与えるには色んな隠れた要素が(偶然or必然に)複雑に絡まっていたりするようです。
それなりに感動の基本構造というのもあるように思います。
「基本構造」といえば、かのジョージ・ルーカスが大学で「英雄伝説」についてのジョージ・キャンベルの授業に感銘をうけて、英雄伝説の基本構造をそのままスターウォーズに応用したことを思い出しました。ジョージ・キャンベルの著作は下記。

千の顔をもつ英雄〈上〉

千の顔をもつ英雄〈上〉

千の顔をもつ英雄〈下〉

千の顔をもつ英雄〈下〉