ゲリラ的求職活動のすすめ

最近このテーマについて話す機会があったので、頭があったかいうちに文章にまとめてみます。

先日、スペインの失業率が25%に迫るという終局的なニュース(http://www.asahi.com/international/update/0428/TKY201204280390.html)が流れてきましたが、 日本の就職・転職市場も失業率こそ4%台を維持しているものの、現場レベルでは相変わらず冷え切っているようです。私の周りでは、新卒の大学生はなんだかんだいって内定をもらっていく一方で、40歳を越える友人達は転職に相当苦戦する傾向があります。

少数の求人に対して、多数の応募者が殺到する。この状況を勝ちぬくのは応募者にとって至難の業ですが、選考する側としても1つの求人に100人も応募が来たところで、応募書類に目を通すだけでも大変な作業です。

つまり、「求人に対して応募する」という求職活動の一つのモデルが機能しにくい時代になっていると言えます。

しかし、よくよく考えなおしてみると、求職活動(就職/転職)なんてルールはあるようでありません。
いい人を採りたいとする会社と、自分を採ってもらいたいとする求職者とのガチンコ勝負です。
「企業が求人を出して、求職者が応募する」という一般的な形も、いくつかあるマッチングのモデルの一つでしかありません。
会社からすれば、コスト以上に稼いでくれる人がいればいつもでも採りたいし、その会社に対して給料×3くらい以上の成果を出せる!と妄想し、プレゼンできるならば、求人の有無関係なく、応募する価値はあります。
要は、もっとゲリラ的に求職活動をしてもいいのではと思います。
そこで、自分が試して結構有効だった手段を紹介します。

●自分が入りたい会社の一番偉い人に直接手紙で面談を申し込んでみる
求人を出していない会社には、特にやりやすい方法です。「御社は求人を出されていないですが、どうしても御社で働きたくて…」という論法で、手紙を使って攻めます(封筒に”親展”を忘れず)。
ポイントは直接会社の一番偉い人、大体が社長ですが、そこを攻撃することです。これが人事部ではいけません。人事部はどんなに偉くなっていても社員は社員。基本的に指示された業務に邁進しますし、手紙攻めのような異質なアプローチは即排除されるリスクが高いです。
しかし、社長に直接手紙で「せめて、30分だけでもお時間いただけませんでしょうか」とやると、私の経験上、大体社長が人事部長に「君、何か面白い応募者が来ているので、ちょっと会ってやってくれたまえ」となる確率が高いです、相当。その社長に会える確率も結構高いです。
これは、社長とその他社員全員の意識の違いに起因します。よく「社長と副社長の距離は、副社長と新入社員の距離より遠い」といいますが、社長はだいたい「いや〜世の中頭のいい奴は五万といるが、やる気で煮えたぎってスピリットに溢れたヤツは本当に少ね〜な〜」なんて考えていることが多いからです*1
つまり、「手紙を出した」というアクションそのものが、既に自分のヤル気のアピールになっているので、社長のアクションを引き出してしまいやすいのです。
そして本当に、その社長があなたをほしい!と思えば、ポストの一つや二つ、作ろうと思えば作ってしまえるものなのです。
仮にダメでも、その社長の脳裏にはその人の名前が刻みこまれています。働きだしてからの人脈とするのもよし、「え〜だめならどこか紹介してくださいよ〜」と厚かましく言ってみるのもいいでしょう。もともとダメもと。どやされても痛くも痒くもありません。
逆に、その会社が求人を出している場合ですが、ちょっと厄介ですが、理由なんてなんとでもつけられます。とりあえず社長は攻撃しておくのです。人事部全員に嫌われても、社長の鶴の一声はすべてを蹴散らしてしまいます。「素晴らしい事業を展開されている御社には、応募が殺到していると想像します。有象無象の他の応募者と差別化するために社長様に直接メッセージを送りたく…なぜなら、○○社長はトップであるが故に人材に対して、他の社員の方より違う意識をお持ちと想像し…(表現修正要)」とか「依然、○○新聞でのインタビューを拝見し感銘を受け、直接ご連絡をしたいという気持ちを抑えられず…(表現若干修正要)」
こうやって、社長にアピールした上で、人事面接の際に「社長様にどうしてもお伝えしたいことがありまして、、直接お手紙送ってしまい申し訳ありません、、、」なんて、しおらしいことを言っておけばいいでしょう。
その会社が活力に溢れ、成長に対して貪欲な社風を持っている場合、この方法はかなりの確率で好転します。

●一回落とされても諦めてはいけない
それでも、採用を断られることがあります。というか、断られることの方が多いでしょう。
普通そこでおめおめ引き下がるのですが、もう一発闘えます。
面接の際にはかなりの確率で面接官の名刺をもらえます。面接の際くれなさそうなら、「ください!」といいましょう。
そして、不採用だった場合、その名刺の中から一番偉い人達にメールを送りましょう。「はっきり、諦めきれません!もう一度チャンスください」と。
不採用の瞬間は、逆説的ですが「何事も諦めない姿勢」のアピールポイントなのです。
そこまで不屈の精神をアピールしておけば、もしその時がダメでもポストが空いた際に会社側から声をかけてもらえる可能性が高まります。だって、いませんもん、そんなにしつこい人、普通。確実にメシはおごってもらえます!笑
仮にすぐに声をかけられなくても、あなたはすでに一角の人として、その会社の方々にインプットされているでしょう。人生は長丁場。どこでまた人間関係が交差するかはわかりません。

もちろん、会社の規模、業種、カルチャーによって、言葉の表現は細かくアレンジすべきですが、大枠こんな感じです。
他の人が一斉に竹槍で突進していっていたとしても、自分だけは相手の後ろに回ってナイフで喉元かき切ってもいいのです。知恵と工夫と行動力の使いどころ。それが求職活動の醍醐味であり面白いところかもしれませんね。

*1:逆にいうとベンチャー精神があまり必要とされないような大企業にはこの方法はあまり通じません