フォーサイト休刊を考えて、早速復刊を願う
今月16日私にとって衝撃的なニュースがあった。国際政治経済情報誌『フォーサイト』の休刊がそれだ。
私は大学入学前後の頃から購読しはじめたので、10年程の愛読者だ。当時私は留学していたので、海外で購読していた。推薦者は、現地で知り合い今も尊敬する外交官の方だ。「この雑誌を読んでおけば、日本と世界の大まかな流れは分かる」、「僕の話のネタの8割はここから」と言われ、バックナンバーを1年分ほどドサっと頂いた。様々な情報に飢えながらも、具体的に何を吸収してよいか分からない状態の若造には、最良の獲物だった。学生時代には本当に最初のページから最後のページまで読んでいた。
誌内の情報の質は高く、テーマも先見性に溢れていた。よって、例えばブッシュJr.元大統領やビン・ラディンの顔や人物像もそれぞれ大統領選挙、911テロのかなり前から知ることができた。
そして、帰国後社会人になってからも購読は継続し、今日に至るまで質の高い情報の提供を受けている。下で詳しく述べるが、フォーサイトの記事をきっかけに読んだ書籍も相当の数になる。よって、今回の休刊は本当に残念だ。
一方、このようにフォーサイトを愛し続けてきた故に、その変わっていく姿もそれなりに見てきたと思う。愛憎は表裏一体というが、悪い面も直視してきたつもりだ。率直に言って、以前と比べて読みたい記事が減っている。自分が社会人になり時間を取れないことを差し引いても、魅力ある記事数が減っているのは確実だと思う。
そこで、このエッセイでは、「一読者からの願い」として復活したフォーサイトにを改善してほしい点を述べていき、私からの早期復刊に対するエールとしたい。勿論、休刊撤回でもかまわない。
早速、魅力的な記事が減った理由だが、それは一言でいえば、「記事に人間の匂いがしなくなった」ことだ。別言すれば新聞記事のような記事が増えた。記事の客観性を保つためだろうが、その代わり無味乾燥な記事が増えた。
私が「フォーサイトのピーク」と考えている90年代後半から2000年代前半の記事には、独特の視点から社会現象を解釈し、大胆な仮説や毒舌を含んだ記事を書く人が多かった。その分記事はやや主観的だったかも知れないが、その主張のオリジナリティが印象に残り、考えさせられることが多かった。
それら筆者達は実務家であったり、また碩学の学者であったりするが、彼らの多くはフォーサイトの記事をきっかけにその人物像が注目を集め、フォーサイト卒業後も書籍の形で著作を連発することになり現在も活躍中だ。
私は、そんな彼らに敬意を表して勝手に「フォーサイト・ファミリー」と呼んでいる。
そして、最近のフォーサイトからはファミリーがあまり出ていない。それが、面白い記事が減った最大の原因と考えている。
今回、その「フォーサイト・ファミリーの名簿」を作成しようと思った。そのために、所有するバックナンバー、また97年3月号から、今月号まですべての目次、そして私の本棚を見直してみた。
そして、名前をリストアップしたところ、やはり90年代から2000年代初めまでの間にフォーサイトに登場し、その後も大体、書籍を出版してメッセージを発信し続けている。にも関わらず、大半の方がフォーサイトに戻ることがない…。今回は、その書籍達も合わせて紹介しよう。勿論、現在まで連載を続けている方等例外もいるが、大まかな流れとして私の主張は強ち外れていないように思えるのだがいかがだろう。
では、早速始めよう(敬称略)。
●塩野七生
言わずとしてたローマ史の碩学だが、90年代後半に『ローマの街角から』という連載を持ち、時事問題についてもメッセージを発信されていた。連載時は塩野氏の代表作『ローマ人の物語』の執筆時期とも重なるので、本業の傍ら連載も続けておられていたことになる。
- 作者: 塩野七生
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個人的な話だが、塩野氏の著作で『ローマ人の物語』以外には『コンスタンチノープルの陥落』が好きだ。
- 作者: 塩野七生
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●中西輝政
98年4月号『日本人よ、「戦後」にしがみつくなかれ』等、自身の歴史観に基づき社会全体を鳥瞰するような記事を不定期に発表されていた。一般的に保守論客と評される方だが、私にとっては、私が勝手に定義した「京都(を中心に活躍する)良識(的な)学派」(佐伯啓思(下述)、吉田和男、河合隼雄、高坂正尭、梅原猛、佐和隆光、梅棹忠夫、日高敏隆、等)の一角を占める歴史の重鎮である。
少し昔の著作になるが、中西氏の『大英帝国衰亡史』は名作だと思う。特にアラビアのロレンスの記述は美しかった記憶がある。
- 作者: 中西輝政
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- 作者: 中西輝政
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- 作者: 高坂正尭
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●佐伯啓思
01年5月号『提言・日本の再建世論迎合なき「改革」を目指せ』等、上述の中西氏と同じく、社会全体を鳥瞰し、現代をどう捉えるべきなのか指針を提示する記事を不定期に書かれていた。特に佐伯氏は西洋哲学の造詣が深く、しかも、難解な哲学思想をツールとして現代をどう解釈できるのか、分かりやすく語ることができる方だ。
私の読書生活は、実はこの佐伯氏の『「アメリカニズム」の終焉』に強い衝撃を受けた時に始まった。
「アメリカニズム」の終焉―シヴィック・リベラリズム精神の再発見へ
- 作者: 佐伯啓思
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その後も佐伯氏が著作を出版される度に貪り読んでいたのだが、入り口としては下記2冊がよいかもしれない。
人間は進歩してきたのか―現代文明論〈上〉「西欧近代」再考 (PHP新書)
- 作者: 佐伯啓思
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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20世紀とは何だったのか―現代文明論〈下〉「西欧近代」の帰結 (PHP新書)
- 作者: 佐伯啓思
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- 作者: 佐伯啓思
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成長経済の終焉―資本主義の限界と「豊かさ」の再定義 (Kei books)
- 作者: 佐伯啓思
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- 作者: 佐伯啓思
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
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ちなみに、中西氏、佐伯氏も含む、私が勝手に定義した京都良識学派の方々は、社会現象を語る時も文明レベルで語る方が多く、スケールが大きい点が魅力的だ。
●寺島実朗
寺島氏は、現在、三井物産戦略研究所会長をしながら、多摩大学学長もされている方だ。佐伯氏や中西氏のようなで純粋な学者ではなく、実務家に近いポジションの方だが、『1900年への旅』等の歴史に関する連載は熱狂的なファンが多い気がする。私の親友もその一人だ。寺島氏の歴史記事の特徴は、当時の状況を詳細に描写し、その歴史的瞬間の状況を読者が彷彿することができることだ。
著作もたくさん出版されているが、フォーサイト上の連載をまとめた『20世紀から何を学ぶか』が代表的だろう。
二十世紀から何を学ぶか〈上〉一九〇〇年への旅 欧州と出会った若き日本 (新潮選書)
- 作者: 寺島実郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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二十世紀から何を学ぶか〈下〉一九〇〇年への旅アメリカの世紀、アジアの自尊 (新潮選書)
- 作者: 寺島実郎
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- 作者: 寺島実郎
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●田中明彦
最近では滅法登場が少なくなったが、以前は『国際論壇レビュー』という連載で、主要海外メディアの最近の論調をレポートされながら、『トニー・ブレアの「言葉による戦争」』(2000年11月号)等の素晴らしい論文を発表されていた。東京大学教授として国際政治をご専門にされ、現在も第一線で活躍されている。
著書も多数出版されているが、以前フォーサイト上でも展開されていた持論が纏められている著書『新しい「中世」』が印象的だ。冷戦後の世界秩序を考える際に示唆に富む内容だった。
- 作者: 田中明彦
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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- 作者: 田中明彦
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●今北純一
今北氏は、ルノー公団、エアーリキッド社等フランス系の企業で幹部として活躍されながら、『ヨーロッパの風に聴け』、『絶対需要の法則』等の連載を通じて、自身の欧州ビジネスシーンにおける経験を素材に貴重な提言をされていた。そもそも欧州ビジネスの現場からメッセージを発信される方は稀であることに加え、その独特の視点は新鮮で、連載が終了した時はショックを受けたことを覚えている。
今北氏は、著書も定期的に出版されており、私の経験では隠れファンが多い。
その隠れファンの一人である私の知人は京都産業界の一線で働くビジネスウーマンだが、『交渉力』が座右の書と言われていた。
- 作者: 今北純一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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- 作者: 今北純一
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- 作者: 今北純一
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- 作者: 今北純一
- 出版社/メーカー: 新潮社
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- 作者: 羽生善治,今北純一
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●梅田望夫
梅田氏は、シリコンバレーでベンチャー企業を育成するエンジェルをされている方であり、その経験を元に書かれた『シリコンバレーからの手紙』の連載は恐らくフォーサイトで一番人気の記事の一つであっただろう。ビジネス的に世界有数の激動地で何が起こっているのか、また、どんな人々が現地で働いているのかについてのレポートはいつも刺激的だった。梅田氏は、自分が見てきた前例のない現象を説明する際に、その現象を象徴するようなキャッチーな一言を探す能力に優れている。「Wisdom of Crowds」、「ネットのあちら側」等がそれだ。
数々の著作をお持ちだが、やはり一番有名なものは、『ウェブ進化論』だろう。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
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『ウェブ進化論』の後も精力的に出版活動をされており、特に変化に敏感な若年層は梅田氏より強いメッセージを受けている模様だ。
シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)
- 作者: 梅田望夫
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ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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- 作者: 梅田望夫,平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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- 作者: 齋藤孝梅田望夫
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- 作者: 梅田望夫,茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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ちなみに私にとっては、なんと言っても『シリコンバレーから将棋を観る』を忘れることができない。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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思えば、梅田氏の存在を知ったのもフォーサイト上であり、ブログでこのような面白いプロジェクトを行う縁ができたのも、ある意味フォーサイトのおかげだ。それを考えると休刊になってしまうのは本当に惜しい。
ちなみに梅田氏は羽生善治氏と懇意にされているが、上述の通り今北氏も羽生氏と対談本を出している。羽生氏はフォーサイトファミリーにモテモテなのだ。
●木村剛
『日本経済「常識に還れ」』を連載し、日本経済、経営のあるべき姿について提言を続けられていた。一方で、関連書籍も多数出版。その後、賛否両論はともかく、政府要職にも就いたことは有名だ。
書籍としては、まず事実を元に書かれた経済小説『通貨が堕落するとき』がある。
- 作者: 木村剛
- 出版社/メーカー: 講談社
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その後、小説という形でなく論文という形で、しかし分かりやすい語り口で次々と書籍を出版する。木村氏は実務家であると同時に歴史にも造詣が深いので、社会の仕組みの原理原則から考えて「個人としてはどのようなアクションを起こすべきか」について包括的な提言ができる方だ。
- 作者: 木村剛
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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- 作者: 木村剛
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- 作者: 木村剛
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- 作者: 木村剛
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●成毛眞
個人的に成毛氏の連載『遊んで暮らそう』は、そのふざけたタイトルとは逆にフォーサイトの連載史上名作に入ると思う。この方は一言でいうと「ぶっ飛んだことを論理的に語ることができる方」である。毎回ゾクゾクするような刺激的で毒舌に溢れた記事が多く、連載当時はまずフォーサイトが届いたら、まずそのページを読んでいたことを思い出す。成毛氏はマイクロソフトの日本法人社長を退任後、インスパイアというプライベートエクイティを創業され活躍される一方、引き続きその毒舌は書籍、ブログ上で炸裂中だ。ちなみにフォーサイトが休刊になったこともブログ上で嘆いておられる(フォーサイトが休刊 - 成毛眞ブログ)。まったくの同感だ。ちなみに、そんな連載も今となっては、フォーサイトの会員専用データベースですら読むことができない。バックナンバーが手元にある人の特権になっているのだ。はっきり言ってフォーサイトのバックナンバーのデータベースは、超貧相だ。成毛氏の連載も含めて貴重な情報資源が紙媒体のみで保存されているなんて、この時代、遊休資産として放置されているに近い。もしかすると所有資産のバリュエーションすらできない人材しか新潮社にはいなくなったのかと疑ってしまう。
いずれにせよ、休刊にするのであれば、紙媒体のバックナンバーをグーグルに提供して、すべてスキャニングしてもらったらよいだろう。もし現在の連載中の船木氏の連載まで書籍化しないとかいったら、もはや新潮社をバイアウトするしかないだろう(笑。新潮社は非上場)。
閑話休題。成毛氏はその後『成毛式マーケッティング塾』という著作を上梓したが、これも滅法面白く、私は学生時代に深夜バスの中で読破してしまったことを覚えている。
- 作者: 成毛眞,日経MJ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/06
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ビジネス関連本としては、他に下記書籍がある。
- 作者: 成毛眞
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/11/08
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新世代ビジネス、知っておきたい四賢人版マーケティングの心得 (文春文庫)
- 作者: 成毛真
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/11
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- 作者: 成毛真,高橋憲一郎
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 1996/06
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藤巻健史×成毛眞×松本大 トーキョー金融道 ―トーキョーの、ニッポンの、世界の金融のイマがもっとも過激にわかる本。
- 作者: 藤巻健史,成毛眞,松本大
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2003/03/29
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本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)
- 作者: 成毛眞
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2008/01/21
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ちなみに最近も人生観について語った本を出版された。保守的なお爺さん達を見ると逆に怒らしたくなるような人には最高に楽しめる本だ。
- 作者: 成毛眞
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/11/20
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●末永徹
この方は元ソロモンブラザーズのトレーダーの方で、松本大氏と同期入社だ。退社後は金融の現場とは一線を画し経済評論家として活動されている。その際にフォーサイト上に、下界から遮断された(失礼か?)自身の生活を題材に『ちょっと早すぎる東京隠遁生活』を連載されていた。現在の生活と、トレーダーとして一線で戦っていた際のエピソードとのの両方を盛り込みながら、独自の視点を有する文章を書かれていた。
末永氏は、その後も定期的に出版を続けられ、経済の仕組みを理解するために必要な基礎的知識の啓蒙に努められた。
「コーヒー一杯」からわかる「新しい経済」の見方 (講談社SOPHIA BOOKS)
- 作者: 末永徹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12
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- 作者: 末永徹
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2002/03
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ソニー銀行 道具としての銀行―フェアな金融機関とクレバーな個人の経済学
- 作者: 末永徹
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2002/12
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- 作者: 末永徹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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- 作者: 末永徹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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現在はフィールズという会社の取締役をされている模様だ。
●須田慎一郎
98年8月号『外資"不良債権買い"の実態』等、主に金融を主題に公開情報の裏でどのような動きがあるのかについての記事を多くかかれていた。アンダーグラウンドの世界に関する記事も多く、野次馬的興味を引かれたことを記憶している。そして今に至るまで須田氏が発信する情報にはアンテナを張り巡らせている。
その後も須田氏は、関連テーマに関する書籍を多数出版されている。
- 作者: 須田慎一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10
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- 作者: 須田慎一郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2009/06/23
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- 作者: 須田慎一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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●藤本隆宏
日本の製造業に関する研究で著名な経営学者で関連著作も多数出版されているが、私の直感だとその知名度が飛躍的に上がったのは2004年6月『メイド・イン・ジャパン進化論』等の記事を発表されてからと考えている。
やはり代表作はこの書籍だろう。
- 作者: 藤本隆宏
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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- 作者: 藤本隆宏,東京大学21世紀COEものづくり経営研究センター
- 出版社/メーカー: 光文社
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●蒲島郁夫
この方は隠れフォーサイト・ファミリーと考えている。この方の記事(例:01年4月号『「反自民」を鮮明にし始めた無党派層』)を読んだ際、内容よりもまず、農協職員からハーバード大学留学を経て東京大学教授になったという異色の経歴に度肝を抜かれたことを記憶している。その後、知名度は全国区になり、今は熊本県知事を務めておられる。
実はまだご専門に関する書籍は拝読していないのだが、下記書籍は読了した。
- 作者: 蒲島郁夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/28
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●渋澤健
国際的ファンドマネージャーとして、そして渋沢栄一の子孫として著名な方であり、フォーサイト誌上でも2003年1月号『「渋澤資本主義」の原点に戻れ』等の記事を書かれていた。この方もフォーサイト上での登場以来知名度が上がって行った気がしてならない。
代表的な著書はやはり『渋沢栄一とヘッジファンドにリスクマネジメントを学ぶ』だろう。渋澤氏は、グローバルな金融の一線で戦ってこられた方だが、一方で人としてのバランス感覚にも非常に優れた方で、ご発言はいつも含蓄がある。
- 作者: 渋澤健
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2001/10/20
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- 作者: 渋澤健
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2004/03
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これがオルタナティブ投資だ!―ヘッジファンドからリートまで「超アクティブ運用」のすべて (実日ビジネス)
- 作者: 渋澤健
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渋澤流 30年長期投資のすすめ 今の「マネー」が次世代の「資産」に化ける (角川SSC新書)
- 作者: 渋澤健
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この他にも、リクルートから小学校校長に転じて活躍された藤原和博氏(連載『冗談ではないのだ』)、知識経営論と日本軍失敗の本質で有名な野中郁次郎氏、日本経済論と金融工学で著名な野口悠紀雄氏(2000年5月号『「経済工学」でリスクに挑め』)、狂牛病の研究で著名ながら、今やベストセラー作家の福岡伸一氏(07年9月号『まだ狂牛病禍は終わっていない』)、FACTA編集長の阿部重夫氏(連載『最後から二番目の真実』)、霞ヶ関埋蔵金の発掘者高橋洋一氏(08年1月号『「霞ヶ関の埋蔵金」は間違いなく存在する』)、フリーランスジャーナリスト斉藤貴男氏、国際関係を専門とされる東京大学教授の山内昌之氏、特にイラクを専門とされる国際政治学者の酒井啓子氏、外交を専門とされる著名なジャーナリスト船橋洋一氏、海外勢もアルヴィン・トフラー氏、ポール・ケネディ氏、ピーター・タスカ氏等々…論争を巻き起こすオリジナリティ溢れる持論をフォーサイト上で展開されていた方は、枚挙に暇が無い。
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/09/11
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- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/09
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給料だけじゃわからない!―[よのなか]の歩き方〈2〉 ちくま文庫
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/11
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- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/01/01
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- 作者: 野中郁次郎,竹内弘高,梅本勝博
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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- メディア: 単行本
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- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 野中郁次郎,戸部良一,鎌田伸一,寺本義也,杉之尾宜生,村井友秀
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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- 作者: 野口悠紀雄,藤井真理子
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未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと
- 作者: 野口悠紀雄
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プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)
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- 作者: 山内昌之
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- 作者: 酒井啓子
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- 作者: アルビン・トフラー,徳岡孝夫
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- 発売日: 1982/09/10
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大国の興亡―1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争〈上巻〉
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大国の興亡―1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争〈下巻〉
- 作者: ポールケネディ,鈴木主税
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勿論、現在も活躍中のフォーサイトファミリーも沢山おられる。『インテリジェンス・ナウ』という非公開情報を題材に連載で活躍されている春名幹男氏、『メイドインジャパン進化論』という連載で世界的競争力を有する日本企業をレポートされ続けている船木春仁氏、中東の専門化である池内恵氏、宮田律氏、日本政治・外交史の専門家の東京大学教授であり、元日本政府国連代表部大使である北岡伸一氏、等、強力な執筆陣は健在だ。この方達は恐らくフォーサイトを卒業することになっても自身が活躍する場で引き続き強いメッセージを発信され続けるだろう。
時代がやっと追いついた 新常識をつくったビジネスの「異端者」たち
- 作者: 船木春仁
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- 作者: 春名幹男
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長くなったがこのように、かつてフォーサイトには、大胆な仮説を提示したり、毒舌にまみれた記事を書く人が多くいた。そのような「フォーサイト・ファミリー」は、自説を武器に上記の素晴らしい著作を上梓されてきた。そして現在、そのような「あたり障りのなくない」人の数が誌上から減ってしまったことは揺ぎ無い事実と考える。
そもそも以前のフォーサイトは、人物のオリジナリティというか、個人が持つ能力に重点を置いた編集をしていたと思う。
通常の記事も「○○○○年のキーパーソン」や「People in focus」等、主題となっている事象のプレイヤーが誰なのか、またそのプレイヤーがどのような人生を歩み、どのような人物なのかについて重点を置いていたものが多かったように思う。
それを象徴する一冊の本がある。
- 作者: Foresight編集部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
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この書籍に満載されているような「人物単位の情報」が、現行のフォーサイトからほとんど消滅してしまった。復刊される際には、是非このような情報を満載する形式を復活してほしい。
最後にもう一つ、今回のフォーサイトの休刊を悲しんでいる方々は読書家に多い気がしている。多くの読書家達は、時事情報の収集のみでなく、次の読書の「獲物」をフォーサイト誌上に探していたはずだ。だから尚更、大胆な仮説や毒舌を論理的に語る人が多い紙面は魅力的だったのだ。
私も読書愛好家の一人としてフォーサイトの復刊を心から望んでいる。くどいが、勿論休刊撤回でも問題ない。