The Economist Sep 26th-Oct 2nd

さっきThe Economistを読んでいて、以前読んだ『ルポ資源大国アフリカ』(ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄)を思い出した。

本号の特集によると、アフリカをはじめ多くの発展途上国においては、携帯電話に対する消費の増加率が、エネルギー、水に対する基礎消費の増加率を上回るらしい。
エネルギー、水等のインフラは基礎的なものは既にある程度ないことはないだろうし、そもそもそのような基礎的な消費は飽和状態になるのが早いだろうから、単純な比較は難しいと思われる。しかし、携帯電話の普及が急速に進んでいるのは本当らしい。
本誌によると、アフリカにおいて携帯電話が普及する背景には特に、厳しい自然環境と、未整備の道路、不正確な郵便網、少ない電車等、流通、情報網が未整備な点があるらしい。
そのような厳しい条件の中で、物理的移動に替えて、商人たちが市場の価格情報に対するアクセスや広いマーケットへ参入する手段として携帯電話が使われているらしい。
以前はやはり、携帯電話は富裕層しか持てなかったらしいが、本体価格が下がり(約20ドル)、またプリペイドシステムが導入されたことにより、富裕層以外の人々も携帯電話を持てるようになった。さらに、その本体価格すらだせない人々には、マイクロファイナンスの制度もあるらしい。
当然、国際的な携帯電話メーカーもこのアフリカという膨大な市場に次々と参入してきていることを本誌はレポートしている。

さらに本誌は、「携帯電話ビジネスには市場の自由化が必要」と説くが、「現在自由化されている国」は、シエラレオネコンゴ民主共和国ソマリア等内戦が頻発している国だ。これは「自由化している」というより無政府状態の中に多国籍企業が強かに進出しているだけでないのか。

そして、『ルポ資源大国アフリカ』で描かれていたように、携帯電話は内戦を戦う兵士達の必須のアイテムにもなりつつある。携帯電話が内戦を効率的に戦う手段でしかないのであれば、その多国籍企業による進出は、武器輸出と本質的に変わらない。


写真:上は、The Economistの記事 下は『ルポ資源大国アフリカ』234p

携帯電話は当然アフリカ諸国においても便利な道具で、既に人々の生活を改善し始めている。しかし、その背後で進んでいる動きも看過できないものだ。将来の国際問題の種をここに見る気がしている。