進捗報告 韓国語訳プロジェクト発足、ポーランド語訳プロジェクト進捗状況等+メディア掲載紹介

 遅れて申し訳ないが、先週の進捗を報告する。
 先週は、一方で先々週に連絡を受けた人達との情報交換に加え、一方で別の国からの新規レスポンスに対する受答えを行った。新規レスポンスは、ポルトガルスペインハンガリーマレーシア、そして韓国からである。今までの返信は、欧米からが中心だったが、ついにアジア諸国も混ざってきた。
 現時点では、将棋愛好家や棋士の方々からの返事が中心だが、返事をくれた人々は漏れなく協力的であり、世界各地に散らばる将棋愛好家の姿勢には頭が下がる。
 一方、韓国語訳プロジェクトの立候補者は、私同様将棋に関する知識は薄いが、梅田さんに対する私淑と当プロジェクトに対する興味で立候補してくれた。歓迎するとともに、今後とも協力を密にして、何としても韓国語訳プロジェクトを実現させたい。
 では下記、詳細を記す。

●今週の新規リプライ

Joao Pedro Pedroso氏(ポルトガル人、ポルト大学コンピューター科学部教職)


 山田さん


 素晴らしい将棋に関する本を紹介していただき、有難うございました。
 早速読み始めたのですが、大変興味深い本だと感じています。


 翻訳についてですが、私は恐らく、迅速に計画を実行するために必要な時間を取れそうにありません。
 よって私個人のサイト()に英訳公開サイトのリンクを貼りました。もしかすると、これを見た私の生徒の一人が翻訳に名乗り出てくれるかも知れません。


 敬具

 氏のサイトには既にリンクが貼られているので、是非確認してほしい。
 返信としては御礼と今後もコンタクトを取り続けようとの旨を伝えた。今後も定期的に情報交換できるように調整する予定だ。

Efren Rubio氏(スペイン人、将棋愛好家)


 Saludos 山田さん

 Watashi wa Efren Rubio, douzo yoroshiku.


 大変申し訳ありませんが、私は英語で書くことは本当に得意でありません。
 しかし、私は今、英国のギルフォードに住みながら、英語を磨き、より円滑に意思疎通できるようになるように努めてます。これは、今後将棋に関する情報をスペイン語に翻訳するよい機会となるでしょう。
 私は、将棋の大ファンです。しかし本当に強くありません。
 こちら英国では、幸運にも英国将棋協会の会長David Faldom氏をはじめ多くの英国人棋士と将棋を指す機会に恵まれました。
 そしてスペインでは、salamancasouryu(salamancasouryuの日記)さんやTakodori(Takodori's Entrance to Shogi World)さんと将棋を指す機会に恵まれました。


 この書籍に関する情報を含んだあなたのメールを受け取れたことを光栄に思います。そして、この本をスペイン語に翻訳できることを大変嬉しく思います。


 私はスペインで将棋の普及のため非営利企業Sanjuuyori(Takodori's Entrance to Shogi World)を運営しています。この団体には、日本文化と漫画を愛する若者達が所属してます。
 彼らにとっても翻訳グループに参加することは大変よい機会となるでしょう。
 そして、これらは、スペインとスペイン語を話す国々全体に将棋を宣伝する最高の機会と思います。
 返事遅れて申し訳ありません。
 またこの書籍に関して、新しい事項等ございましたら、お知らせください。

 
 敬具

 今後スペイン語訳プロジェクトの主軸を担うに最適の人物からの返事だ。
 プロジェクトメンバーであるsalamancasouryuさんやTadokoriさんと既に知り合いである点も、強い縁を感じる。
 私からの返信としては、御礼と合わせて、今後もスペイン語訳プロジェクト実現のため情報交換を密にしようという旨を送付した。
 そういえば、17日の作業報告で「スペインとコロンビアとの両方から立候補者がでれば…」など仮定の話をしていたが、ここに現実化することになった。
 17日の記事で記載したように、今後はスペイン人Efrenさんとコロンビア人Carlosさんとの情報交換をコーディネートし、単一のスペイン語訳計画を進めながら、スペイン語圏の将棋を通じた交流が実現できればと思う。共通の言語を有する諸外国のメンバーが共同作業をするケースは本プロジェクト初であり、面白い(勿論、すべては関係者の希望により可変)。
 尚、今後スペイン語訳プロジェクトの日本側統括は、私よりスペイン語に堪能なsalamancasouryuさんの方が適任なので、ご迷惑でなければ是非お任せしたいと考えている。

 Leon Wooldridge氏(ハンガリー人、将棋愛好家)からは、連絡に対する御礼と本書に対する強い興味を伝えられた。氏は日本を紹介するサイトを運営されているらしく、そのサイト上で本書を紹介してくれるとのことだ。
 私は個人的にフォン・ノイマンやアンドリュー・グローブ等、歴史的に社会に大きなインパクトを与える人物を多く輩出する文化を備えた同国に、強い敬意を持っている。
 よって返信は、その旨を率直に伝え、将棋もまた高度な知的スポーツとして同国民に受け入れられるのではないか、よって、是非翻訳を一考してほしい、という内容で送付した。
 今後もコンタクトを継続したい。

 Pieter Stouten氏(オランダ人、将棋愛好家)からは、ヨーロッパ将棋協会(FESA)とグーグルの将棋グループSHOGI-L(前回Adrianさんに紹介を受けたものと同じ)の両方の会員リストに対して同プロジェクトの宣伝の提案を受けた。実際SHOGI-Lの方には既に氏名義で、私のメールが転送され、衆目に晒されている。
 氏とも今後コンタクトを継続したい。

Shuenn Chyn Chin氏(マレーシア人、将棋愛好家)


 山田さん


 メール有難うございます。
 英訳公開サイトに訪れて、何らかの貢献ができないか探ってみます。
 そして、このサイトを将棋に興味を持っている友人にも紹介してみます。


 敬具

 今までのリプライが欧米中心だったので、アジアからの返信は嬉しい。大切に育てていきたいと思っている。
 返信にも御礼とその旨を率直に伝え、是非マレー語訳も考慮してほしいと言明した。

●韓国語訳プロジェクト発足
 先日Hiroko Sasa様より、私宛に直接連絡を受け、韓国語翻訳プロジェクトの発足の表明を受けた。メンバーはSasa様と韓国人のご友人達とのことである。
 色々不安に感じておられる点もあるようなので、他プロジェクト関係者すべての力を結集してサポートしていきたいと思う。
 また進捗は随時報告する。

ポーランド語訳プロジェクト進捗状況
 Adrian Woloszyn氏(ポーランド人、欧州将棋協会員)とは、先週のコンタクト開始から、今後の計画について頻繁に情報交換し、先方の具体的な計画内容を聞きだしたところ、何と6月1日から9月1日までの3ヶ月でポーランド語への翻訳を終わらせる、とのことだ。その翻訳はまずebookとしてポーランド将棋協会のサイト(Shogi Harbour – Shogi Harbour – a safe place for every shogi player)に公開した後、現地で出版する計画とのことだ。
 尚、Woloszyn氏は英語からポーランド語への翻訳にどのくらい時間がかかるかの目安を得るために、英語で書かれた羽生氏のインタビュー(When a Shogi champion turns to chess | ChessBase)を実際に翻訳されたようだ。
 さらに、先方は、既に出版本の販売開始予定日まで9月10日と指定している。この日付は今後進捗に応じて変更されることもあるだろうが、氏の本気度が伝わってくる。
 我々フランス語訳プロジェクトも褌を締めなおさなければ、英訳プロジェクトの次点は、大方の予想を裏切って、ポーランド語ということもあり得る。


[追記]

 本日(2009年5月25日)の産経新聞掲載(東京では第一面)の『ウェブ立志篇』において、梅田さんより我々の活動についてご紹介いただいた(http://sankei.jp.msn.com/economy/it/090525/its0905250317000-n1.htm)。
 主要メディアを通じて我々を紹介して頂いたことを極めて光栄に思うとともに、この梅田さんからの激励に心より感謝したい。
 『産経新聞媒体資料インターネット版』によると、産経新聞の朝刊の発行部数は192万部数なので、少なくない数の人々が当プロジェクトの存在を知ることになる。本プロジェクトへの注目度が高まるにつれ、一種のノブレス・オブリージュを感じる。
 私の立ち位置としては、今後もフランス語訳プロジェクトの主担当を努めながらも、極力世界全体を視野に入れた活動を構想、実現していきたいと考えている。
 特に今回のポーランド語訳プロジェクトのような、日本から比較的見えにくい地域にある潜在的な日本文化に対する需要を、「将棋」というキーワードで発掘できればと考えている。
 基本的に好奇心を行動原理として動いているので、面白いアイデアを持っている方は是非提案いただきたい。