「経営者目線」という虚構

「経営者目線」という言葉について正鵠を射る記事を見つけたので紹介します。
従業員に「経営者目線を持て」という謎の要求 | あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

この内容は本当にその通りで、従業員の給与にしても経営者にとってはコストとして減らすべきもの、従業員にとっては収入として増やすべきもの、つまり一番重要な点において利害が鋭く対立するわけです。よって、経営者と従業員はまったく違うインセンティブが行動に働いているわけで、その従業員に対して経営者が「経営者目線をもて」というのは、意味のない言葉だと思います。

もう一つ突っ込むと、株式会社の経営者は株主により選ばれます。よって、株主は経営者に対して「株主目線を持て」といいたいはずです。しかし、株主に対する配当も会社から現金が出ていくという意味でコストですし、経営者としては研究開発のために資金を会社に蓄積させたいということもあるでしょう。つまり、株主と経営者も利害が対立していて、違うインセンティブで動いていることになります。

このように違うインセンティブで動くプレイヤーをひとまとめにくくろうとする試みや議論はまったく意味をなさないと思います。ただ、意外とこの事実って無視されていたりするんですよね。