第1回:語学学習法について

下文は、私がフランス留学時代に書いた語学勉強法についての文章です。10年以上前の文章なので、細部に関して考え方を変えたところはありますが、大枠現在もこのような考え方を支持しています。ご参考まで。山田義久 2012年1月


最近家庭教師をしています。友人の紹介で、 卒業後渡仏を考えている高校生に週二回フランス語を教えています。 今回のテーマはその高校生にフランス語を教えるときに使っている方法論についてです。 自分もフランス語を勉強し始めた頃同じような方法で勉強しました。 いまだにこの方法はなかなか効果的だったなぁーと考えているので、 この機会に紹介しましょう。

 基本方針は、至って簡単で、自分の言葉をフランス語にするということ。日頃、 会話で使う単語は思ったほど多くありません。日本語を例にとっても、 国語辞典1ページあたり僕の辞典では約単語50個ありますが、 日頃の会話で使っている単語はその中の3〜5個ほど、あとはほとんど使わない単語か、 もっと簡単な単語で言い換えられる単語です。 もちろんその3〜5個の単語にしても人によって違ってきますが。

 よって外国語を勉強するにあたって、一番重要なことは「自分の言葉」を探しだし、 その外国語にしておくことです。そしてそれを丸暗記しておけば、 実際の会話に自然にその言葉での表現が出てくるというわけです。ただ、 丸暗記するとき音読をすることが重要です。 それを続けておくと頭よりも先に口が表現を覚えてしまい、 複雑な冠詞の順序なども口で多少リピートするだけで思い出すことができます。

 というわけで第一回は、まず文法を現在形、過去形、未来形のみ、vouloir(〜したい)、 devoir(〜しなければならない)、pouvoir(〜できる)の使い方、 を2時間でざっと教えました。これだけのことを知っていれば、 日常生活の中での大半のいいたいことはいえるというのが僕の持論です、あとは発音少々、 辞書の使い方を教えて第一回をおわりました。 「なぜフランスに行きたいのか」というテーマでの作文を次回の宿題としました。 勿論、わからないところは日本語で書くようにと伝えました。

 そして迎えた第二回はその仏作文を添削しながら、 またその中で日本語で書かれた部分をどうやってフランス語にするかを説明しながら、 文法の授業をしました。その後、その添削がおわった作文を教材に発音を詳しく教えました。 そこで第二回はおわりました。次回への宿題はその作文を音読して丸暗記することと、 新しい作文です。作文のテーマは、多少僕がアイデァをいったりしますが、 基本的に自由にしました。その後僕はその添削し終わった作文を一部もって帰り、 それを僕自身が読んでテープに吹き込み、発音の教材をつくり翌日、本人に渡しました。

こんな感じで、「自分の表現したいこと」を教材に、「話す」「聞く」「書く」 の能力を同時に引き上げ、興味を失わさずに学習させるという段取りになります。 僕自身、渡仏後3ヶ月、ほぼ毎日この訓練を続け、 3ヶ月後にはそのコストにみあった効果があったと思います。勿論、 他人でもうまくいくかどうか、一抹の不安はあるのですが、あとは手探りです。 以後の経過を随時報告するかたちで問題点を練り直し、 このエッセー上で語学修得の方法論を体系立てるというのはどうでしょうか!とまぁ、 そんな大それたことは考えていませんが、また面白いことがあれば随時報告していきます。 なにか意見、批判などあれば待っています。